HTCは台湾を代表するグローバル企業で、かつては世界2位のスマホのメーカーでした。そんなHTCが窮地に陥っています。
今回のM&Aの意味
9月21日驚きのニュースが台湾を駆け巡りました。HTCがスマホODM開発部門をGoogleに11億ドルで手放すというというのです。株価が全盛期から10分1以下に下がり世界シェアも落ち続けているとはいえ、かつてはアップルに次いで世界2位まで上り詰めた台湾を代表する企業です。その企業がなぜ部門を売却せざるを得なかったのか。その理由を探ってみようと思います。
企業買収には2社が関わります。
買収企業と被買収企業、どちらが会社の価値を高く思っているでしょうか?
答えは買収企業です。買収する側は被買収企業に価値を見出し、買収される側は当該事業の継続しないほうが会社にとって良いと思い、取引が成立するのです。
では買収するGoogleはどのような価値を見出したのでしょうか。米国IT産業では消費者への最初の接点となるハードウェアに価値を見いだし、ネットフリックス、フェースブック、アマゾン、アップルなどがハードウェア製品開発を加速しています。Googleも例外ではありませんでした。Googleはハードウェアに投資を強めていく戦略の中で、既に自社製スマホをODM生産し優秀な人材を抱えるHTCの部門と2,000人の研究開発人材に価値を見出したのです。しかも、Googleの一兆ドルと言われる保有現金からはタダみたいな価格で購入できる機会を得たのですからコストパフォーマンスは高いと判断したのでしょう。
一方、HTCはどうして売却せざるを得なかったのでしょうか。主力のスマホ事業の不調で連続9期赤字を出していたHTCは手元のキャッシュも心細くなっていました。HTCからすると特許問題などで不調が続くスマホ事業を切り離し、次の主要事業として期待するVR事業へ集中できるというメリットを今回の売却で見出したのです。今後は、Googleから得る多額の現金でVRへの研究開発を強めていくでしょう。事実、董事長の王雪紅はVRの将来への期待と投資を明言しております。
VRはHTCを救えるか
IDCによると2017年Q2時点で、HTCのVRの市場シェアは4.4%、サムスン、ソニーなどに大きく水を開けられています。また、そもそもVR自体の応用性にも不安があります。市場ではVR、VRと叫ばられていますが、それを活用するアプリケーションが乏しく、実際には使用場面も今のところ娯楽での利用を想定した市場となっています。HTCが今後も生き延びるには、VRの魅力や使い方を自ら発信して市場を作っていくことがキーとなるでしょう。
選択と集中に出、事業の転換を図ったHTC。今後の動きも注目していきたいと思います
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